インポッシブル

すごい映画だよ、すごい映画なんだけど、誰にも観ることを薦められない映画。
そしておそらく地上波で放送されることは絶対にないだろうから、レンタルしてこない限り見る機会もないだろうと思う…


私の中で「ホラー映画だと思ってみたら予想外の方向から攻めてこられて、すごい映画だけど苦しくなるので二度と見たくない映画」No1である『永遠のこどもたち』のフリヨ監督の二作目で、スマトラ島沖大地震津波に旅先で巻き込まれる家族の話。
映画の前半を占める津波のシーンは、実はそんなに高さがあるわけではなくて、数メートルの津波。なのに、ものすごく怖い。濁流を濁流として描いているし、巻き込まれているお母さん(ナオミワッツ)からの視点が多いので本当に何が起こっているのかわからないまま。それが余計に怖い…
言葉が通じない異国で翻弄される間に、お母さんの顔にどんどん死相が出てくるし、一緒に逃げることができた長男はお母さんを見失う。どんどん煮詰まっていく状況の中、それでも家族を探し続ける姿に重ねて、行きずりのおばあちゃんが子供の疑問に答えて語るわけです。
「あの星の光はもうなくなった星の光?それとも生きている星?」
「それを見分けるのは不可能(インポッシブル)ね」



今観るべき映画ではないとは思うし、たぶん私ももう二度とは見ないと思う。
それでもあえて感想を書きこのしておきたいと思うぐらいにはすごい、本当にすごい映画でした…